子ども学 第4号

著者
白梅学園大学子ども学研究所「子ども学」編集委員会 編集
版型・頁
B5判 200頁(2016/05/26)
ISBN
978-4-89347-183-3
価格
1,980 円(税込)
数 量

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概要

『子ども学』第4号発刊!

「子ども学」は,早くも第4号となりました。「子ども学」は,子ども学の可能性を広げるために,教育学・保育学,心理学,社会学,さらに脳科学など周辺領域を含めて,その多角的な検討を進めています。その研究の先端を発表・紹介する場としていきたいのです。幸い,本号も多数の研究者の方々にその論考を寄せてもらえ,子ども学の多面性とともに,その相互に刺激し合っている可能性の広がりを見てもらえるものとなりました。
脳科学が今や子どもとその成長における生物学的土台をなす機構を解明しつつあることは明らかです。しかし,その先端の研究は専門家同士での論文であるので,それをわかりやすく解説することが必要になります。とりわけ,発達障害関係と,基礎となる乳幼児の感情や認知の発達の知見を大きく変えつつあります。歴史的視点も必要です。子どもは社会・文化のなかに暮らして成長していくのであり,そこでの環境のあり方や大人の交渉のあり方は歴史的に成立してきたものだからです。過去数百年から,この数十年の社会的変化はメディアの変革と社会的関係のあり方の変容をともないつつ,大きな影響を子どもの成育に与えています。さらに,子どもの生活の全容をとらえると,園や学校,家庭以外の子どもの生活にも注目すべきです。その同年齢の仲間との過ごし方とともに社会的メディアの影響が働き,論者によってはある年齢以降,家庭の影響より強いという議論もあります。
今回,依頼と審査というこれまでの論文の投稿ルートと別に,新規の投稿論文を採択することができました。意欲的に新しい問題を新たな理論と方法を用いて解明しようとする論考です。今後とも,投稿の増えることを期待したいと思います。
子ども学はどこから来て,どこに行くのか。本誌は学会誌とは異なる角度で,先鋭的な論文や広範な視野に立った論文を掲載していきます。子どもという存在は一つの学問領域で割り切れるものではなく,特定の学問の専有物ではありません。それ以前に,家庭や仲間やメディアや地域とともに暮らし,また身体的生理学的,さらに心理的社会的存在として,そして何より一個の主体として生きています。多くの学問によりつつ,その解明に一歩でも二歩でも近づくために,本「子ども学」は努力していきたいと思います。
(編集委員長 白梅学園大学子ども学部教授 無藤 隆、まえがきより)

※『子ども学』第5号は2017年春発刊予定です。
※投稿論文(査読付)も募集中です。

主要目次

<特集1> 脳科学の子ども研究の現在
・子どもの感情と認知について …中村 俊
・脳と発達障害 …榊原洋一

<特集2> 子ども観を見なおす
・浮世絵のなかの子ども
  ─近世日本の子ども史・家族関係史の視座から─ …太田素子
・殺された子どもの行方
  ─昔話「継子と鳥」とATU720類話にみる
  〈あわい〉存在としての子ども─ …鵜野祐介
・第二の〈子ども〉の誕生から第三の〈子ども〉の誕生へ
  ─マンガにみる子ども像の変化─ …山田浩之

<特集3> 子ども集団をとらえなおす
・社会の変化と子どもの仲間集団の変容 …住田正樹
・アフタースクールにおける子どもの生活への支援 …山縣文治
・ソーシャル・メディアと子ども・社会 …坂本 旬

<投稿論文>
・子ども理解のツールとしての複線径路・等至性モデル(TEM)の可能性
  …保木井啓史・境愛一郎・濱名 潔・中坪史典