紙芝居文化史

著者
石山幸弘 著
版型・頁
B5判/222頁/上製 (2008/1/25)
ISBN
978-4-89347-127-7
価格
4,180 円(税込)
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概要

最近、紙芝居について制作および実演関連とは別に、とみに関心が高まってきたのは、文化財資料としての見直し、発掘と保存に即しての研究である。この裾野が広がりつつある傾向は、宮城県図書館所蔵の「街頭紙芝居」一括が、文化庁から文化財として指定を受けたことにも象徴的に表れている。また、大学の教育学部、あるいは幼児教育関係の保育や福祉の専門学校などで、紙芝居を正面から取り上げる授業が継続的に開講される傾向が強まってきている。
こうしたなかで明らかになってきたのは、「日本生まれの文化財」と自慢するほどには、その基礎的調査・研究が進んでおらず、近年になってやっとその緒についたばかりという印象である。これまで紙芝居の歴史に関する論考は、先学たちによっていくつか発表されてきているが、ややダイジェスト的な印象はぬぐいきれない。改めて思うに、紙芝居の本格的な文化史的諸相を睨んでの研究は、今後にもち越されている風情である。こう考えたとき、そもそもその基本となる本格的な「紙芝居年表」がこれまでなかったことに気づく。
本書は、これから紙芝居という文化財について調査研究しようとする方々に、少しでも援助ができればと考え執筆した(本書まえがきより)。

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<本書を推薦します> (児童文化研究者 上 笙一郎)

「地力の人」の「花」
石山幸弘さんのお顔を見ると、私は「地力」という言葉を思い浮かべる。「大地」は目立たず、しかしその「力」は人の気づかぬ間に孜々として草木を養い、ある日突然あでやかな花を咲かせてしまう。そう「地力」の化身のような石山さんが、数年の春秋を懸けて咲かせた大輪の花がこの『紙芝居文化史』なのである。
「年表」作りは、知識・調査・体力・忍耐力を限りなく必要とする仕事で、「地力の人」の石山さんだから仕上げることが出来たのだ。児童文化研究にたずさわる者として、ひとえに感謝あるのみ。
作者・実演家・研究者はもちろん、幼児保育・児童教育・児童遊育などの場で紙芝居にかかわるすべての人が、机辺に備えて置いてもらいたい1冊である。

主要目次


第1期 紙芝居の源流
   ―12世紀前半~1867(慶応年間)年まで
第2期 写し絵から立絵紙芝居へ
   ―1868(明治元)年~1929(昭和4)年まで
第3期 平絵紙芝居の誕生とその諸相
   ―1930(昭和5)年~1936(昭和11)年まで
第4期 メディアとしての紙芝居
   ―1937(昭和12)年~1945(昭和20)年(7月)まで
第5期 民主化のなかの紙芝居
   ―1945(昭和20)年(8月)~1950(昭和25)年まで
第6期 街頭紙芝居の黄金期とそのかげり
   ―1951(昭和26)年~1960(昭和35)年まで
第7期 教育紙芝居の模索と発展
   ―1961(昭和36)年~2007(平成19)年(9月)現在まで
あとがきにかえて