知識を広げ、保育実践に活かす 表現(造形)
- 著者
- 吉田収 著
- 版型・頁
- B5判 148頁 カラー(2025/02/05)
- ISBN
- 978-4-89347-439-1
- 価格
- 2,200 円(税込)
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我々人間は、行為や言葉で意思を伝えようとします。人が行う表現とは、心を意図的に外に表し、誰かに伝達しようとする行為や形です。それを受け止める人がいるからこそ表現する気持ちが生まれ、表現と成り得るのです。
子どもの豊かな表現を育む人は、子どもの素直な気持ちを伝えることができる人でなければなりません。子どもは心を汲み、共感してくれる人にこそ本心を表現します。受け手がいるからこそ表現は成り立ちます。そのためにはまず、心豊かな受け手でいなければなりません。そのような受け手になるためには、豊かな感受性が必要です。保育者に求められるものは、子どもの表現を引きだし、尊重し、共感し、楽しさを共有できる感性です。
本書は、講義科目である「表現(造形)」の教科書として作成しました。しかしながら、演習系科目である「造形」を講義科目としてその内容を修得するためには、演習の内容を知る必要があります。つまり、単なる知識としてではなく、実践を伴った知識の方が実感としての経験となり、実践する力とともにより深い学びが得られます。
保育に関しては、実践的なものから専門的な知識まで踏み込んだ内容となっています。保育の専門的な実践では、<実践>として現場でも役立つ内容を入れています。そして、個人から集団へと発展できる内容も入れてあります。専門的な知識としては、自分で手に取って使ってみないと分からないことまで含めています。これらを保育者として知っておくことで、実践するときに必ず役立つ内容となっています。また、保育者の資質の向上にまで踏み込んだ内容も入れています。しかしながら、造形の内容は幅広く、授業期間では網羅することは難しく、まだまだ足りない内容もありますが、本書を手に取られた皆さんがここから派生して、自分らしい表現を見つけてくれたらと思います。
(本書「はじめに」より)
主要目次
第1章 幼児期の造形について
§1. 幼児期の造形の表現
1. 表現とは
2. 造形とは
3. 造形の意義
4. 保育者として意識すること
§2. 領域<表現>のねらい及び内容と造形
1. 保育者の視点から
2. 幼児期の終わりまでに育ってほしい10の姿
§3. 幼児の絵画表現の発達段階
1. なぐりがき期(1~2歳半ごろ)
2. 象徴期・意味付け期(2~3歳ごろ)
3. 前図式期・カタログ期(3~5歳ごろ)
4. 図式期(4~9歳ごろ)
§4. 幼児の造形活動の発達段階
第2章 造形の原理
§1. 造形の要素
1. 造形要素とは
2. 造形の三要素
§2. 形態
1. 形態の区分
2. 形態の要素
§3. 色彩
1. 色の区分
2. 色の三要素
3. 色の三原色
4. 色の対比
5. 色の関係
6. 色の感情
7. 色の機能
§4. テクスチャー(材質・質感)
§5. 美の構成要素
1. シンメトリー(左右対称)
2. バランス(均衡)
3. プロポーション(比例・比率)
4. リズム(律動)
5. コントラスト(対照)
6. アクセント(強調)
第3章 子どもの表現としての造形の種類
§1. 平面的表現から
1. 描画材
2. 絵の具
3. 版画
§2. 立体的表現から
1. 粘土
2. 木材
3. 紙
4. その他の材料(廃材)
第4章 保育現場での実践
§1. 保育現場での造形活動
1. 保育現場での造形活動とは
2. 造形を主活動とする指導計画
3. 造形活動の流れを計画する
4. 指導計画の立案のポイント
5. 造形活動を教材にした部分実習指導案の例
§2. 保育現場での制作活動事例
1. 子どもに向けての制作活動
2. 保育者の資質向上に向けての表現活動~五感を表現する~
§3. 保育現場での環境構成や展示活動
1. 環境構成「壁面装飾」
2. 環境構成「用具や材料」
3. 展示活動