子ども学 第11号

著者
白梅学園大学・白梅学園短期大学子ども学研究所「子ども学」編集委員会 編集
版型・頁
B5判 242頁(2023/05/31)
ISBN
978-4-89347-401-8
価格
1,980 円(税込)
数 量

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概要

 本誌,第11号発刊の2023年春,大きなニュースといえば,「こども基本法」の施行と「こども家庭庁」の発足でしょう。日本が子どもの権利条約に批准してから約30年,その国内法・プログラム法として位置づけられる「こども基本法」と,政策の所管省庁である「こども家庭庁」を,とくに子どもの貧困対策を中心に,巻頭特集として末冨芳先生からわかりやすく論じていただきました。
 もう一つの巻頭特集として,無藤隆先生から現在進められている幼児教育と小学校教育の接続の試みである「架け橋プログラム」について,これまでの課題と,改革のあり方を明快に論じていただきました。すなわち,幼児教育のあり方の見直しと深化,そして小学校の,とくに低学年教育をとらえる枠組みの変革について論じておられます。
 さらに,特集1~3では,現在のホット・トピックスからです。【トラウマインフォームドケア】【外国籍の子どもたち】【ヤングケアラー】,いずれも各分野をリードする先生方にご執筆いただきました。
 共通課題として,これらのグループは,しばしば社会的孤立や偏見,差別に直面しているだけでなく,不安やストレス,身体的または心理的な負担,さらには教育や雇用の機会にアクセスする障害など,さまざまな困難に直面しています。また,課題が未解決のままである場合,彼らの将来の成長や発展に影響を与える可能性があります。その実情をわかりやすくご執筆くださっており,私たちの思い込みや理解不足を修正する,よい機会を与えてくださっています。
 多分野が連携する「子ども学」。子どもを取り巻くさまざまな問題が眼前にはありますが,そこに通底する「困りごと」は何かを考えながら,見つけだしていただければと思います。それこそが今の私たちの出発点になるはずです。
(子ども学研究所長 白梅学園大学子ども学部教授 松田 佳尚「まえがき」より)

主要目次

〈巻頭特集〉子ども・子ども学トピックス 2023
・幼児教育と小学校教育の質の高さを求めるなかでその接続を可能にする…無藤 隆
・こども基本法・こども家庭庁体制のもとでのこども政策の展望…末冨 芳

〈特集1〉トラウマインフォームドケア
・保育におけるトラウマインフォームドケア…野坂祐子
・非行行動のある少女の自己理解と変化を支える…坂東 希
・切り離せないDV・虐待・性暴力の支援をつなぎ次世代を守る…長江美代子

〈特集2〉外国籍の子どもたち
・外国にルーツをもつ子どもたち…南野奈津子
・日本で学ぶ外国にルーツをもつ子どもたち…佐々木由美子

〈特集3〉ヤングケアラー
・ヤングケアラーはどんな「問題」なのか…斎藤真緒
・子どもの貧困とヤングケアラー…松村智史
・ケイパビリティアプローチからみたヤングケアラーの問題とアプローチ…森田久美子

〈子ども学研究所報告〉
・古田足日研究プロジェクト…仲本美央

[投稿論文]
〈研究ノート〉
保育・幼児教育施設での持続可能性に向けた‘物’への取り組み…石田佳織・秋田喜代美・辻谷真知子・宮田まり子・宮本雄太