概要
『子ども学』第2号発刊!
本「子ども学」の狙いは、従来の教育学、保育学、発達心理学などよりもっと広い視点で、子どものあり方と子どもを囲む問題を見直す論考の場とすることである。学問的厳密さと自由闊達な論議の接点をつくりたい。また学会のような狭く閉ざされやすい場よりも広く、諸学会の境界を横断する知の振る舞いの場としていきたい。
それは、一方で、原理性と実践性の対比と言えるだろう。原理的に理路を詰めていくことを厭わない。解説や啓発といったことの配慮抜きでよいので、考えるべきことを考えていくこととしたい。だが、そうでありつつも、現場の実践とりわけ保育・教育・福祉などの営みにつながるところを見通したい。実践から生まれてくる知恵や知見に原理的思考への通路を開きたい。
もう一つは、先端性と展望性の対比である。学界の今の通例の議論を超えたその先の論へと進める。先端の研究や論考を示していく。同時にまた、広くその分野のあり方や経緯をわかるような見通しを与えるものも掲載したい。
そういった試みも早くも第2号を迎えることができた。すでに第3号に向けて、編集作業を開始している。また投稿論文の募集にも紙面を開放する。
その作業を通して、従来の学界という枠を横断し、また広げていくという意図がどこまで実現されていくだろうか。もとより二つ・三つの号でそれが可能となるわけではないが、そこに向けて、一歩でも二歩でも踏み出していきたい。幸い、依頼しまた審査する過程において、本号においても著者の方々が大いに力を発揮し、注文に応えてくれている。水準の高い学術誌であると同時に、多くの研究者のみならず向学の実践者にも裨益するところ多大であると信じている。
子ども学は、子どもを研究するという意味では昔からある学問であるのだが、子どもをめぐり横断的に取り組み、理論的でしかも同時に実践的であろうとすることと、学問の知見と現場の知恵を重ね合わせていく志向において、21世紀を切り開くべき使命を負うのである。それにふさわしい諸論考になったと思うのであり、また今後もその水準を保ち続けていきたいと考える。
(編集委員長 白梅学園大学子ども学部教授 無藤 隆、まえがきより)
※『子ども学』第3号は2015年春発刊予定です。