トップページ 本の紹介 ご注文方法 会社概要 カートをみる
保育実践図書

新保育内容シリーズ  事例で学ぶ保育内容シリーズ  知の探究シリーズ
保育関係テキスト  保育実習図書  保育実践図書  各種専門図書

今日から明日へつながる保育
書名 今日から明日へつながる保育
著者 河邉貴子・赤石元子 監
東京学芸大学附属幼稚園小金井園舎 編
頁 A5判 246頁 (2009/10/04)
ISBN 978-4-89347-137-6
税込価格 2,310 円

 数 量 

 

概要
 幼稚園教育要領が改訂され、2008(平成20)年3月、告示された。「幼児の自発的な活動としての遊びは心身の調和のとれた発達の基礎を培う重要な学習である」という幼稚園教育の基本は引き継がれた。「遊び」という身体活動をともなう総合的な体験が、子どもの発達に必要であることに疑いをもつものはいないだろう。
 しかし、この基本的理念は認識として定着したけれども、実践として十分に具現化されてきたかといえば、かならずしもそうとはいえない。批判を恐れずにいうならば、「遊び」といっても、子どもがそこで何を体験しているかに対して無自覚な保育もいまだ多い。そしてそのような保育においては「必要な体験」は保育者主導の一斉保育において、保育者によってもたらされるものと思われていて、子どもが自発活動を通して発達に必要な「体験」を積み重ねていくような生活が保障されていない。
(中略)
 このような危機的状況を考えたとき、20年にわたって引き継がれたこの理念の重要性を、今、あらためて確認したい。そして、子どもたちに「幸せな幼児期」を保障したい。その1つとして試行錯誤のうちにもこのことをめざしている保育実践を書き残す必要があるのではないか。これが本書を企画した動機である。

 本書は第1章と第2章に分かれている。第1章の執筆者は本園の保育者であり、自らの実践事例を取り上げているので、一応、タイトル脇に「実践編」と小さく記した。しかし、保育行為とは現在進行形でその場の意味を解釈し、その妥当性を検討しながら行為を決定するという極めて「研究的」な行為であり、「実践」と「研究」は分かち難い。したがって第1章は単なる実践報告ではなく、長期にわたる実践事例の分析を通して、子どもにとっての体験の多様性・関連性の意味と保育の在り方の理論をつむぎ出すように試みた。
 第2章は、本園にかかわりが深い研究者が執筆した。それぞれの専門領域から子どもの体験の多様性と関連性について論じていただいたが、いずれも本園の実践に密着して理論を展開している。
 期せずして、全編を通して「実践」と「研究」の一体性が示され、研究的態度を保持する保育者と実践研究者との≪協働性≫の高い本となった。
 これからの幼児教育の充実発展のために、本書がたたき台となり、子どもにとって必要な体験が十分に保障される保育の在り方に対する議論が深まることを期待する。
(本書「はじめに」より)
もくじ はじめに―遊びを中心とした保育をめざして

第1章 今日から明日へつながる保育実践
  §1 子どもの体験のつながりを大切にする私たちの保育
  §2 子どものなかの体験を読み取る
  §3 「稲作」から広がる体験
  §4 「どんぐりと山猫」の表現に見る子どもの体験
  §5 3年間の育ちを見通した指導計画
  §6 保育者としての資質を高める

第2章 子どもの体験の多様性と関連性
  §1 体験をつなぐ子どもの心の発達
  §2 協同的な学びの視点から
  §3 音楽的表現の視点から
  §4 造形的表現の視点から
  §5 子どもの遊びをとらえる「全体的思考」の方法
      ―子どもの志向性へのアプローチ

特別寄稿 保育という営みの今日的課題 (小川博久)
      ―理念と制度の狭間にあるもの―

back