全頁フルカラー!!
多くの作品例とその作り方を写真とイラストから丁寧に解説しました!
本書には、保育造形の世界を幅広くとらえ、深く理解して、明日の保育を豊かにひらいてほしいという願いをこめました。また、構成に際しては、幼児期の子どもたちの育ちの糧となり、表現を支える手だてとなる「造形表現」について理解するために、“何を学ぶのか・なぜ学ぶのか・どのように学ぶのか”を明確にしたいと考えました。そして、保育者養成校や保育現場での実践にいかせるように、それぞれの実践の場で評価が得られたもの、たとえば美術嫌いの傾向が改善し保育実践力の獲得を実感したと評価された授業方法や、保育現場での子どもの観察や保育者からの評価の結果を反映させた内容を掲載しました。
この本の構成とおもな内容は以下のとおりです。
1章では、造形表現の意義を一般論と現代的な意義から整理します。
2章では、表現を育む人になるために必要な心と身体の在り方について考えます。造形表現がそもそも得手不得手・上手下手で論じるものではないことを体験的に理解し、子ども心を取り戻すワークショップを紹介します。“造形の基礎科目”や“保育内容(表現)”の授業の一部にも活用できるでしょう。
3章は、造形を子どもと共に楽しむために必要な造形的基礎力の獲得を目指します。“造形の基礎科目”の実技内容に相当しますが、表現を楽しみながら基礎技能や材料用具に関する知識を獲得し、保育に役立つ体験になるよう配慮しましたので、保育者の表現力の向上を目指す研修で取り組むこともできます。
4章では、造形的な表現の発達の理解をねらいとしながら個人差についての理解にも触れました。“保育内容(表現)”や“造形表現指導法”においてぜひ学んでほしい内容です。心理学のさまざまな知見を紹介し、研究的な視点をもつ手がかりになるよう配慮しました。
5章では、すべての子どもが表現を楽しむための“指導法”について考えます。保育形態にかかわらず、幼児理解にもとづいた造形指導をいかに行うかを示します。また、模擬保育を通して実践力を獲得する方法を紹介します。幼稚園教育要領と保育所保育指針からの実践の振り返りができるようにし、保育現場でのさまざまな課題にも対応できる内容を盛り込みました。
6章では、これまで実践してきた造形活動のプログラムを5つの枠内に位置づけて紹介しました。現場での実践や実習、模擬保育にも役立つように、ねらいや方法をわかりやすく表示し、保育者の活動と子どもの活動を分けて記載しました。
7章では、保育造形という枠を越えて、生活そのものを創造的で豊かなものにしている実践を紹介し、創造的な活動が、さまざまな現代的な課題の解決につながる可能性について示しました。
全体としては、保育造形とその近接領域を広く網羅し、学習内容と方法を具体的に示すことによって、保育者養成校の多様な授業に対応できるようにしました。また、コラムや欄外に、専門演習や卒業研究に発展でき、保育経験を重ねてからの学びにも応じられる内容を盛り込み、授業と研修の両方に役立つ本を目指しました。
(本書「はじめに」より)
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