概要
保育におけるカリキュラム・デザイン
われわれが「子ども」をどのような存在としてとらえ、どのような保育を目指しているのか、そしてそれを実現する方法はどのようなものなのか、そうした保育の根本への問いが実践に描き出される。言い換えるならば、われわれの子ども観、発達観、教育観、保育観が最も顕著な形で現れるものが教育課程ということでもあるだろう。その意味で、教育課程を創るということは、教育や保育を創る営みそのものでもある。
子どもと保育者の間に生成する「保育」という営みの本質に多少でも触れたことのある保育者は、この仕事の愉しさと喜びを実感する。教育課程を描き、創り出すというその生成の作業は、「保育」と同じように愉しさと喜びが内包された営みであるはずである。
子どものたちの活動に対するあらゆる仮説を立て、次々に展開する活動を踏まえて次なる学びの援助をする。こうした、子どもの学びのプロセスが教育課程である。保育者が子どもたち一人一人の「今」と「これから」に思いを寄せ、その学びをデザインするとき、そこに生きた教育課程が生まれる(本書「はじめに」より)。