子ども学 第6号

著者
白梅学園大学子ども学研究所「子ども学」編集委員会 編集
版型・頁
B5判 156頁(2018/05/28)
ISBN
978-4-89347-266-3
価格
1,980 円(税込)
数 量

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概要

『子ども学』第6号発刊!

本誌「子ども学」は,今号で6回目の刊行となり,子ども学またその関連する領域において定着してきたように思える。だが,同時に(たとえば,私の専門などに見られるように),乳幼児の保育・幼児教育に特化した雑誌のようにも見なされることもある。たしかに保育・幼児教育は,子ども学の重要な領域であり,研究も極めて多いので,それは当然ながら本誌の重要な柱となる。毎号,何らかのそこに関わる論考を掲載するよう努めている。
しかし,子ども学の全体は,もっと広いものである。子どもという存在の定義を未成年としても,その幅は20年ほどにおよび,その時期ごとの違いは大きい。また,子どもの活動する場は多岐にわたり,当然ながら,幼稚園・保育所や学校という場に限られない。家庭があり,地域があり,さらに言えば,保育的あるいは教育的視点が子どもを捉える唯一のものではない。子どもに関わる人も,親や保育者や教師や兄弟や祖父母や隣人や地域の人々がある。また重要なことは,それらのあり方また問題にアプローチする学問が多様であり,むしろそういった諸学問の協働のなかに,子どものあり得る姿が見えてくるのである。
教育学,心理学は,もっとも盛んな学問領域であるが,同時に,医学や脳神経科学があり,また,社会学や福祉学,歴史学,さらに最近では,経済学からの分析も盛んだ。政治学や制度・政策に関する研究も増えてきている。保育・教育にしても,そこに関わる専門家である保育者・教師を養成したり,専門性の向上を図る人たちがいる。
そういったことを受けて,今回から新たに,子どもを囲む諸学問のアプローチを熟知するそのリーダーの方々に,子ども学とその研究の可能性について提言をいただく試みを始めた。また特集として,日本語の獲得の可能性を乳幼児期の言語発達の研究と小学校の作文指導の歴史的分析を組み入れた。もう一つの特集は教師・保育者の専門性の向上を図る上での方策や政策などの現状の分析である。第三に小特集として,保育の場面の詳細な分析をする研究を含めた。投稿論文が一つであるが,それと合わせて,保育研究の動きをよく表すものとなっている。
(編集委員長 白梅学園大学大学院特任教授 無藤 隆「はじめに」より)

主要目次

<巻頭特集>子ども学研究への提言 2018
・「子ども」とは誰か …子安増生
・転換期の社会における子ども研究 …永井聖二
・「貧困」研究の総合化 …汐見稔幸
<特集1>子どもは日本語をどう獲得するのか
・日本語の擬音語“感覚”の発達 …針生悦子
・1920年代後半からの綴方における表現指導 …杉山実加
<特集2>教師・保育者の専門性の発達
・保育者の専門性と保育実践の質の維持・向上をはかる研修の実態 …北野幸子
・保育士の研修に係る法的規定に関する考察 …矢藤誠慈郎
<小特集>
・幼児期におけるふざけ行動の意義 …掘越紀香
<子ども学 投稿論文>
〈原著論文〉
・4歳児の製作場面におけるモノを他者に「見せる」行為の機能の検討 …佐川早季子