対話的・深い学びの保育内容 人間関係〈第2版〉

著者
塚本美知子 編著  大熊光穂・小野寺知子・小原貴恵子・高橋かほる・近内愛子・永井妙子・鳩山多加子・古川由紀子・矢萩恭子 著
版型・頁
B5判 224頁(2019/05/18)
ISBN
978-4-89347-301-1
価格
1,980 円(税込)
数 量

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概要

2017年3月告示の新幼稚園教育要領・保育所保育指針対応の保育内容「人間関係」最新テキスト。2019年スタートの新教職課程・保育士養成課程の教授内容もふまえて編集。

本書は、領域「人間関係」について深く学べるよう3部構成としました。第1部では、「保育内容 人間関係」とはなにかをテーマとして、人間関係の意義やねらい、内容、社会状況について学びます。第2部では、子どもの発達と人間関係をテーマとして、さまざまな角度から具体的な指導方法について学びます。そして第3部では、子どもを取り巻く人間関係をテーマとして、地域社会とのつながりを学べるよう編集しました。
本書の大きな特徴を2つ挙げます。
一つ目は、第2部において、教育・保育実習を通して、これまでの実習生が体験したとまどいや問題、気づきなどを「先輩の声」として掲載していることです。実習で体験する疑問や課題には、類似したものがあるようです。そこで、各執筆者が、みなさんの先輩たちが学生時代に抱いた疑問、考えた事柄のいくつかを抽出し、それらを盛り込むことで、皆さんの学びをさらに深められるようにしました。先輩たちは、実習でどのような体験をし、どのような疑問を抱き、どのようなことに気づき、学びを深めたのでしょうか。本書に掲載している事例は、ほんの一例ですが、これを読むと、先輩たちの体験に共感したり、自身の思考を深めたりすることができると思います。また、自分では気づかなかったことを発見することができるかもしれません。これらを参考に、新たな気づきを得、思考力や実践力が高まることを期待したいと思います。
二つ目は、「保護者との連携」についての記述です。子どもたちの「人間関係」の育ちを考えるとき、保護者とのかかわりを抜きにして考えることはできません。本書では、各章の内容に即して保護者との対応を盛り込んでいます。社会状況の変化により、子育ての難しさに直面している保護者が多い現状を踏まえ、一人ひとりの保護者に寄り添い、保護者の子育てを支援することは保育者の役割です。異なる価値観をもつ保護者を理解し、適切に関わっていくことは難しいことですが、子どもの成長・発達と保護者の支援については一体的に考え、取り組んでいくことが必要でしょう。子どもも、保護者も、保育者も、ともに成長し、向上していくような幼児教育・保育でありたいと思います。
(本書「はじめに」から要約)

主要目次

第1部 保育内容の人間関係とはなにか

第1章 保育の基本と領域「人間関係」
  1-1 幼児期の発達の特性と幼児教育・保育
  1-2 人間関係をめぐる問題と領域「人間関係」の意義
  1-3 人間関係の構築
  1-4 体験の質と保育者の援助
  1-5 領域「人間関係」と他の領域との関連
第2章 子どもを取り巻く社会の状況
  2-1 縮小する家族
  2-2 母親の就労
  2-3 変化する生活環境
  2-4 人と関わりながら育つ
第3章 領域「人間関係」の「ねらい及び内容」の取扱い
  3-1 幼稚園教育要領「人間関係」
  3-2 「保育所保育指針」「幼保連携型認定こども園教育・保育要領」の「人間関係」

第2部 子どもの発達と人間関係

第4章 0・1・2歳児における人との関わりの発達と保育者の援助
  4-1 有能な乳児
  4-2 乳児の生得的な能力
  4-3 「人との関わり方」の習得とはぐくみ
  4-4 乳児と人との関わり
  4-5 幼児(1~3歳未満のころ)と人との関わり
  4-6 保護者への対応
  【事例1】自分でやりたい!(1歳児)
  【事例2】好き嫌い!(2歳児)
第5章 3・4・5歳児における人との関わりの発達と保育者の援助
  5-1 人と関わる力をはぐくむ
  5-2 3歳児の人との関わりと保育者の援助
  【事例1】なに、見てるの?(3歳児 4月)
  【事例2】パーティー、パーティー(3歳児 11月)
  【事例3】僕も入れて!(3歳児 10月)
  5-3 4歳児の人との関わりと保育者の援助
  【事例4】10数えたら交代ね(4歳児 5月)
  【事例5】ダメ、私が使うの(4歳児 1月)
  5-4 5歳児の人との関わりと保育者の援助
  【事例6】おはよう お部屋に行こうね(5歳児 4月)
  【事例7】いいね、ここにしよう(5歳児 11月)
  【事例8】身振り、手振りで(5歳児 9月)
  5-5 保護者への対応
第6章 愛着形成の理論と実際
  6-1 愛着とは
  6-2 愛着の発達
  【事例1】笑顔でバイバイできるまで(3歳児 4月)
  6-3 愛着の個人差
  【事例2】甘えたい、でも……(1歳児 6月)
  6-4 保育と愛着
第7章 子どもの自立心
  7-1 子どもの自立心
  【事例】砂場で大きなお山を作りたい(4歳児 9月)
  7-2 自立の種類
第8章 子どもの自己主張と自己発揮
  8-1 自我の発達と人との関わり
  【事例1】「見る」ことにおける能動性(4カ月児)
  【事例2】小さな能動性のかがやき(3歳児 6月)
  8-2 自己主張と自我意識の芽生え
  【事例3】一度口に入れたにんじんを吐き出す(7カ月児)
  【事例4】「いないいないばぁ」を要求する(9カ月児)
  【事例5】コワイけど足が動く?(2歳児 1月)
  8-3 自己発揮・自己抑制から自己統制へ
  【事例6】園が自分の居場所となるまで(3歳児 4月)
  8-4 子どもの主体性・能動性を保障する保育者の関わり
第9章 いざこざ・けんかなどのトラブル
  9-1 子どものいざこざ・トラブル
  9-2 いざこざの特徴と対人関係の発達
  9-3 いざこざ・トラブルでの成長
  9-4 事例を通して学ぶ保育者の関わり
  【事例1】さっちゃんのー(2歳児 5月)
  【事例2】私がミカちゃんと遊ぶの(3歳児 10月)
  【事例3】なに、見てるの?(4歳児 5月)
  【事例4】だって、うまく回らなかったんだもん(5歳児 10月)
  9-5 トラブルの解決に向けた援助の基本
第10章 共感・思いやり
  10-1 共感
  【事例1】子どもの気持ちに共感した実習生と子ども(4歳児 5月)
  10-2 思いやり
  【事例2】リレーで友だちを思いやる姿(5歳児 9月)
  【事例3】砂場でのトラブル(4歳児 6月)
  【事例4】子どもたちの気持ちを思いやる保育者の援助(5歳児 10月)
第11章 道徳性・規範意識
  11-1 幼児期における道徳性の芽生え
  【事例1】ぬいぐるみをめぐる葛藤の体験(4歳児 10月)
  【事例2】クラスの約束をめぐって(5歳児 9月)
  11-2 道徳性の基本「人を大切にする」気持ちをはぐくむ
  【事例3】保育者に温かく支えられて(4歳児 6月)
  11-3 道徳性の芽生えをはぐくむために
  【事例4】お母さんの役をめぐってのいざこざ(4歳児 9月)
  【事例5】弱ったチョウへ心を寄せる(4歳児 5月)
  11-4 規範意識をはぐくむ
  【事例6】ルールのある遊びのなかで起きたトラブル(5歳児 10月)
  【事例7】保育者に思いを受け止めてもらう(4歳児 6月)
第12章 コミュニケーション能力
  12-1 コミュニケーションの理論
  12-2 子ども同士のコミュニケーション
  【事例1】好きな遊びの場面でのくい違い(4歳児 2月)
  【事例2】遊び方をめぐる相談(5歳児 6月)
  12-3 コミュニケーション能力を育てる保育者の関わり
第13章 個と集団の育ち
  13-1 個と集団の関連
  13-2 協同性をはぐくむ
【事例1】ぼくの餌、食べてよ(3歳児 5月)
【事例2】同じ場でおしゃべり(3歳児 12月)
【事例3】誕生会、今夜は雪です(4歳児 12月)
【事例4-1】新たに2人加わってグループで相談(5歳児 11月)
【事例4-2】回転の術、サキちゃん頑張れ
【事例4-3】他の術も考えよう
【事例4-4】相談 ―お客さんに見せるには―

第3部 子どもと人間関係

第14章 子どもを取り巻く人間関係
  14-1 保護者との関わり
  14-2 保育者同士、同僚との関係
  14-3 幼児の関わりを広げる地域との関わり