子ども学 第3号

著者
白梅学園大学子ども学研究所「子ども学」編集委員会 編集
版型・頁
B5判 164頁(2015/05/15)
ISBN
978-4-89347-182-6
価格
1,980 円(税込)
数 量

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概要

『子ども学』第3号発刊!

今号は3つの特集で構成されていますが,それぞれ密接につながったテーマです。
子ども観・家族観の問いなおしという課題は,今日保育や教育にかかわる人間にとって,最重要なテーマとなってきています。子どもとはどういう存在と考えるのか,子どもという存在と具体的にどうした姿勢でむき合うのか,こうしたことが実際の保育や教育の仕方を決める最重要といってよい要因になるのですが,それが揺らいでいるのが今日です。モンテーニュやルソーに始まるロマン主義的な子ども観は,近代の教育をある方向で構想すること,あるいは是正することに大いに貢献しましたが,アリエスの提起以来,この子ども観,考え方,発想の仕方自体を特殊歴史的なものと考える発想が広がってきました。子どもの権利条約は,保護される主体としての子どもという発想と,保護されながら自己を可能な限り社会のなかで主張し参加することを励ます子ども,主体としての子どもという発想を含んでいますが,最近は,新しいメディアの発展や社会・文化の変化の速度の激しさなどによって,社会と文化の動向の先頭にいるのが子どもという現象も出てきています。こうした社会・文化変動・変容をどう評価すればいいのか,私たちに真剣な検討が要請されています。当然,こうした変化は,子どもたちがそこで育つもっとも大事な場といえる家族のあり方の変化と密接につながっていて,その価値・意味を見なおすことをも要請します。
こうした新たな課題は,たとえば大人と子どもの境目といえる思春期という時期の意味づけの見なおし,彼らの行動の意味の新たな発見,それに見合った教育の創造などという問題とすぐリンクしますし,障害といわれている育ちの偏差の問題についての評価の見なおしという課題にもつながります。とりわけ,コンピュータの縦横の発達による情報処理の様式の大きな変化は,そうした機器ではできない情報処理すなわち感情をベースとした情報処理の役割の大きさを浮かびあがらせますし,保育・教育の課題の見なおしにも直結します。端的にアートといわれる情報処理様式の教育のほうに,保育・教育の課題を移す時代が始まったと考えるべきかどうかです。
本号から投稿論文の募集が始まりました。『子ども学』が,この分野の気鋭の研究の交流の場となるべく,さらなる投稿を期待しています。
(編集委員顧問 白梅学園大学・短期大学学長 汐見稔幸、まえがきより)

※『子ども学』第4号は2016年春発刊予定です。

主要目次

<特集1> 子ども観・家族観を問う
・子ども観に関する一考察 …本田和子
・社会変動下の日本の家族 …柏木惠子

<特集2> 思春期をとらえなおす
・摂食障害と思春期 …西園マーハ文
・子どもの性的発達と性問題行動 …野坂祐子
・児童自立支援施設の実践を通して
  「非行」をとらえなおす …松嶋秀明

<特集3> 子どもとアート
・アートと保育士養成 …森本玄・岸本栄嗣
・からだ・気づき・対話のアート教育 …郡司明子
・動的な世界とのかかわりに着目した色彩造形教育 …葉山 登