萌文書林

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事例で学ぶ保育内容<領域>表現

著者
無藤隆・浜口順子・松井とし・岩立京子・砂上史子・吉川はる奈・宮里暁美・仲明子・友定啓子 著
版型・頁
B5判 221頁 カラー (2008/09/15)
ISBN
978-4-89347-100-0
税込価格
2,160円(本体2,000円+税)

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概要

一般に「表現」というと、音楽表現、造形表現、身体表現などに狭めて考えてしまう傾向がありますが、本書では一貫して、子どもが日常の生活を送るなかで表す行為全体を「表現」としてとらえていく姿勢を堅持したつもりです。当然、その結果として、歌や楽器演奏、造形や演劇表現などの事例も出てきますが、それは生活の一場面としての表現という見方を基盤にしています。

本書の構成は、第1章では幼児教育の考え方の基本について示し、そのなかに領域「表現」を位置づけてあります。遊びを通して子どもの主体性を育む園環境の構成、保育者のかかわり方、家庭・園・小学校などの子どもをめぐる教育環境の連携などがその主眼となります。第2章では「表現」を、子どもの日常の当たり前の行為・行動からとらえるというパースペクティブ形成を試みました。1つは表現と理解の関係から、2つめは3歳以降の子どもの表現の基盤となる0歳~2歳の行為を「表現」としてとらえ直す試みからです。第3章~第8章までは実践編で、事例や園内の実際から「表現」を育み支えているものについて考えています。第3章では「時間」「空間」「もの」などの環境を表現の条件としてとらえ直しています。第4章では、子どものもっともナイーブな「感じる」経験とまたそれを支える保育者の感性に言及しています。第5章の「美しさ」は幼稚園教育要領における「表現」のねらいにある言葉ですが、自然や美的表現の美しさだけではなく、子どもの意欲の源にある、「すてきな」人やものをめざそうとする心、自分の技能を高めようとする欲求などが志向しているものも美しさとしてとらえています。第6章、第7章は「表現」において見落とされがちな、他者との協同をテーマとしています。個性の発揮という一人ひとりの創造性に目を奪われていると、他者とのコミュニケーションが二の次になりやすいですが、幼児期の表現において他者との関係性は切り離せないということを強調したつもりです。第8章は、いわゆる表現らしい表現ともいえる造形的、音楽的表現において、子どもや保育者のいろいろな思いがかけられていることをとらえようとしています。最終の第9章では、現代の子どもたちがどんどん表現する機会から疎外され、その責任は現代社会を築いているおとなにあるのではないかという危機意識を明確にしています。本書の「日常の行為を表現として理解する」というコンセプトは、その危機意識に応えるための幼児教育における一つの挑戦でもあるといえるでしょう。

本書の理論的な部分と実践的な部分を併せて読むことによって、子どもたちにとって、領域「健康」を通しで育てなければならないことは何なのか、そのために保育者としてどのようにかかわっていったらよいのか、どのように環境を整えていったらよいのかを読者が考えていくうえでの、一助となることを期待します(本書まえがきより)。

もくじ

第1章 幼児教育の基本
第2章 乳幼児期の発達と表現
第3章 保育のなかの表現を支える環境づくり
第4章 生活のなかにあるものを表現として味わう
第5章 美しさを経験し、美しさを表現する
第6章 コミュニケーションとしての表現
第7章 保育者が支える表現
第8章 表現をつくり出す
第9章 幼児教育の現代的課題と領域「表現」

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