萌文書林

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事例で学ぶ保育内容<領域>人間関係

著者
無藤隆・岩立京子・赤石元子・高濱裕子・西坂小百合・森下葉子・倉持清美 著
版型・頁
B5判 202頁 カラー (2008/09/15)
ISBN
978-4-89347-097-3
税込価格
2,160円(本体2,000円+税)

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概要

現代社会において、子どもが子どもらしく遊び、生活するための“仲間”、“時間”、“空間”が失われてきています。少子化により、子どもがかかわる仲間が失われ、親が子どもの生活を管理する傾向が高まってきていますし、情報化の進展によって人と人とが直接にかかわる機会が軽視されてきています。近年、多く生じているいじめや学級崩壊、人とのかかわりで感情のコントロールができない傾向、失敗や葛藤に傷つきやすい傾向など、人とかかわる力の育ちの問題は、こうした社会のありようを反映したものと考えられます。このような状況のなか、人との豊かなかかわりを提供する幼児教育の役割があらためて注目されてきています。幼児期は、からだ全体で他者とかかわり、楽しさやうれしさ、怒りや悲しみなど豊かな感情体験を重ねていく時期ですので、この時期にどのような人とのかかわりを経験するかは、後の人間関係の発達において非常に重要です。

幼児教育において、人とのかかわりに関する保育内容やねらいは領域「人間関係」にまとめられています。本書は、保育内容シリーズのなかの領域「人間関係」のテキストとして編集されました。保育者をめざす学生に、今を生きる子どもの姿がリアルに伝わるように、子ども・保育・保育者の事例を豊富に挿入しました。また事例だけでなく、フルカラーの美しい写真を多く用いることによって、子どもや保育者の生き生きとした姿や保育実践を学べるようにしました。これらの写真や事例と、それに関連づけて発達心理学や幼児教育学などの理論を学ぶことで保育に生きる「保育内容」を学ぶことができるでしょう。
本書は、保育者をめざす学生だけでなく、現場の保育者が力量を高めるために、また、保育者養成にかかわる教員が養成や研究の質を高めるために役立つでしょう。なぜなら、幼児教育というものが多くの事例と出会い、かかわりを蓄積しながら、臨床の知を構築していく営みだからです。
第1章では幼児教育の目的と領域の関係性や「環境を通しての教育」、保育者のさまざまな役割、そして、領域「人間関係」と他領域との関係など、日本の幼児教育の基本がわかりやすく書かれています。第2章は、子どもが生後直後から幼児期へと発達する過程において展開される人とのかかわりが、発達や学びの連続性の視点から示されています。第3章では、子どもの人とのかかわりを豊かにするために、子どもの傍らで心をくだき、援助していく保育者に焦点をあてて、その役割を具体的な事例を通して学べるようにしました。第4章では、子どもが育つうえでなくてはならない「遊び」という観点から、その考え方、「遊び」のなかに見られる人とのかかわりの多様な側面について考察されています。第5章では、日常の生活において人とのかかわりから子どもが何を学んでいくのか、その学びの質が家族から、保育者、地域の人とのかかわりにおいてどのように変化するのかについて学びます。つづく第6章では、個と集団のダイナミックな関係性における自己形成や、集団での協同的学びの見取りとその援助について示されています。第7章は、人とのかかわりを理解するうえで重要な発達心理学の理論が示されています。本書では事例と理論を関連づけることをめざしているので、この7章は、ほかのすべての章と深くかかわっています。そして、最後の第8章では、現代社会が子どもにとってどのような特質をもつのか、現代にあって人とのかかわりを育む幼児教育の今日的課題やそれに対処していく保育者のさまざま役割について学びます(本書まえがきより)。

もくじ

第1章 幼児教育の基本
第2章 乳幼児期の発達と領域「人間関係」
第3章 子どもと保育者のかかわり
第4章 遊びのなかの人とのかかわり
第5章 生活を通して育つ人とのかかわり
第6章 個と集団の育ち
第7章 人とのかかわりを見る視点
第8章 幼児教育の現代的課題と領域「人間関係」

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